南谷桂子(パリ)“キャトルズジュイエ”の恒例の花火大会
    2010 年 9 月
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“キャトルズジュイエ”の恒例の花火大会

7月14日はフランス革命記念日、通称パリ祭と呼ばれる祝日だ。

仏人は14・7をそのまま数字読みして“キャトルズジュイエ”というが、この日を境にして国民は長い長い夏休みモードに突入する。とは言っても、この不況で悠長に一ヶ月のバカンスをとる人はさすが年々減っているが、でも、あっという間に夏が過ぎ去ってしまうヨーロッパにしてみれば、やっぱりキャトルズジュイエは特別なもの。

恒例の花火が号令の合図で、今年はエッフェル塔120周年を記念して炎のパフォーマー「グループF」がまさにエッフェル塔を炎で包んでしまった!

まるでブレークダンスを踊っているかのようにユラユラと腰を振っているエッフェル塔に、そこにいた1万8000人の観衆たちは思わずウォーと大歓声。一緒に腰を振って踊っている! フランス革命で市民権を獲得した国民の熱気が再び蘇えったような熱い一夜だった。

 
 

フェット・ド・ラ・ミュージック

6月21日は夏至。一年で一番、日照時間が長い日。そんな夏の訪れを祝おうとパリでは恒例の「フェット・ド・ラ・ミュージック」が開催されました。ロックからクラシック・民俗音楽までジャンルを問わずプロ・アマ混じって誰でもがウェルカム。アンバリッドを背景に“ノック・ノック・ア・ヘブンズドア~♪”なんて歌う若者やオルセー美術館の前でひとりクラリネットでモーツァルトを吹く青年。(実はオルセー美術館内ではカート・マジュール指揮によるメンデルスゾーンのクラシックコンサートが開かれていたのです。でも残念ながら定員オーバーで入れなかった。涙!)普段は重い扉が閉まっているウルグアイ大使館もわざわざ本国からミュージシャンを呼んでみんなに開放。レンタル自転車ベリッブではしごしている人たちも思わず立ち止まって耳を傾けていました。まさにパリ中、ミュージッシャンで溢れかえった一夜でした。

これも隣人祭りと同じように、ひとりでも多くの人を外に出そう!という国民的イベントのひとつ。故ミッテラン大統領が当選するや否や、82年に彼の下で文化大臣をしていた国民的ヒーロー、ジャック・ラングが提案したこのフェスタ。いまでは海外にも輸出されて、現在では120 ヶ国、NYやオーストラリアまで全世界350都市が音楽で結ばれています。改めて音楽には国境がないことを実感した夜でした。

 
 

[仏]95歳のおばあちゃまと「隣人祭り」

映画「アメリー」で有名なカフェの近くの、とあるアパルトマンの中庭。美人コンシエルジュのアナベルさんの一声で住民のほとんどが参加。ちょっと感じの悪いカップル2組は案の上、欠席。これってみんなのテレパシーが働くんでしょうか!なかでも圧巻は95歳のおばあちゃま。とてもそんな年齢には見えない彼女はみんなの人気者だ。日本人の久美子さんは「いつもエレベーターではお見かけするんですが、お話をしたのは今日がはじめて。まさか、そんなお年だったなんて!」思わず一緒に記念写真をパチリ。話していくうちに、そのおばあちゃまのいとこが日本語を勉強している事がわかり早速、電話番号を交換。これも隣人祭りの力です。

お料理もとってもゴージャス。こういうところに住民のセンスが現れますね。久美子さんはちらし寿司と鳥のつくね――両方とも大好評、スムールを使ったタブレとトマトのサラダ、ピザにキッシュ。そしてフランボワーズのタルトと息の合った住人ぶりが発揮されました。

 
 

[仏]写真家ウィリー・ロニスに盛り上がった隣人祭り

こちらはロハスキッズに登場していただいた利恵さん一家の隣人祭り。アコーデオン奏者の利恵さんが地下鉄の中で「セーヌは流れる」なんて弾いていたらその音色に聞き惚れたのがご主人とのなりそめ。今では4才になるオクターヴ  君も誕生してパリ20区に住んでいる。庶民的な雰囲気を残すこの界隈、実はフランスの巨匠ウィリー・ロニスがこの家の中庭を背景にしてムッシュー・ロジエという人物を写した写真集が残っている。利恵さんがここに移り住み始めた頃、このロジエさんは「バラを愛する男」として伝説的に語り継がれていた。今回、隣人祭りがきっかけで知り合った住民のひとりからこの写真集を見せられて、このロジエさんの姿が確認できたのはほんとうにうれしい。これもきっと何かのご縁。

当日は太巻きを作って大好評だった利恵さん。バングラデッシュのマダムは春雨風のお菓子、フランス人の陶芸家はガレット・ド・ロワにちょった似たピチヴィエというケーキ、そしてデザイナーの女性はチキンをハーブやクミン、玉ねぎでマリネしてオーブンで焼いたグラタンのようなご馳走に全員が酔いしれた一晩でした!

 
 

[仏]オー・ド・マルゼルブ地区の賃貸マンションに住む人たち

ソトコトの5月号で紹介したパリ17区のオー・ド・マルゼルブ地区に住む「大家と借家人」。6,7haものゆったりとした敷地内には22棟591世帯が住んでいる。白人を中心とするアパート所有者たちは、日頃HLMと呼ばれる定額所得者向け賃貸住宅に住む借家人たちの身勝手な行動に不満を募らせている。というのも彼らのほとんどが海外からの移民ファミリーで、中にはフランス語も満足に話すことも出来ずに意思の疎通もうまくいかない。そこで何とかお互いに歩み寄ろうと数年前から隣人祭りをとり入れてきた。状況は少しずつ改善されているものだとばかり思っていたら、先日、借家人組合のフィリップ・ブーランさんから連絡が来た。「今年の隣人祭りにいらっしゃいませんか?」

一年ぶりにお会いするブーランさんは持ち前のモーモアもギャグも健在。でもちょっと元気がない。「どうしたの?」と訪ねると大家さん組合と決裂して、今この地区では最悪な空気が流れているという。ブーランさんはれっきとした白人、移民たちをたばねている以上は彼らにも非を改めさせなければならない。そして健全な地域コミュニティの再生を目指そうと、両者の板ばさみになりながらも日夜奔走している。しかし今日は隣人祭りの日。借家人組合だけでも集まろうと声をかけたら実に大勢の人たちが来てくれた。子どもたちに囲まれている時のブーランさんの笑顔、習慣も言葉もまったく違う彼らではあるけれど、まるで自分のファミリーのように思っているブーランさんになぜか熱いものを感じた。

 
 

[仏]世界中のパン祭り

パリの楽しいところは何と言っても多国籍の人たちが同じところにたくさん住んでいることだ。でも思いもかけないトラブルや人種差別による争いもまた日常茶飯事。1995年にフランス全土を震撼させたパリ郊外の移民による暴動、俗にバンリュウと呼ばれている地区には今でも火種を抱えているところが少なくない。ここモンフェルメイユもそのひとつだ。マグレブ系(北アフリカ)や昔の仏領植民地だったアフリカ系の人たちが住民のほとんどを占めている。今年は「世界のパン祭り」をオーガナイズして住民同士の交流に一役買っている。

民族衣装に身を包んだギニアのモドゥさんはその恰幅のよさと美貌でまわりの人たちの注目を集めている。美人といえばモロッコのライラさんも負けていない。パンにジャムを塗って子どもたちひとりひとりに配っているその姿は美しいだけじゃなくて優しさも人一倍。またアルジェリア人夫妻のジャメルさんはしっかり者の奥さんには頭が上がらないといった様子。建物のコンシエルジュ仲間の5人組み、彼らの結束の強さこそが地域をつなぐ潤滑油の役目を果たしている。子どもからおとな、高齢者まで隣人祭りが市民のほんの束の間の憩いの場になっているのがすごくよく分かる。こんな地域だからこそ、みんなは隣人祭りを毎年楽しみにしている。

 
 

[仏]「食育」隣人祭り

ありました!数え切れないぐらいのドラマが。5月26日(火)、日本の隣人祭りに2日ほど遅れてパリでも一斉に行われました。始まる直前まで大嵐。あぁ、今年もまた雨か…と思いきや、時計が18:30を回ったところで突然、青空に。今年は10周年を記念して、あちこちでかなりの盛り上がりをみせています。中でも「食育」をテーマに子どもたちにバランスのとれた食事の大切さを教えてあげようと、食品会社のネスレが昨年の暮れ「ネスレ財団」を立ち上げました。“君がどんなものを食べているか言ってごらん、どんな人か言い当てたげるから!”フランスの健啖家、ブリヤサヴァランの有名な言葉です。そんな言葉を生んだフランス、やっぱり食べることは人生の楽しみのよう。

いつもながら駆け足でやって来たぺリファンさん。子どもたちに向かって「さぁ、みんな食べることの大切さ分かった?じゃ、おみやげにキャンディーあげるよ。」「もう、アタナーズたら!キャンディーなんか食べさせないようにするのが食育なのよ!!」と、ちょっと失笑をかったぺリファンさんでした。

 
 

[仏]お隣さんからお隣さんへ

3月8日の “ 国際婦人デー “ にちなんでパリ市6区の区役所では女性を対象にした「隣人祭り」が開催された。

いつまでも美しくありたいと願うのは世界中の女性たちの永遠の願望。

「口紅」をテーマにした今回のこの催しはフランスの有名なコスメティックメーカーBOURJOISがスポンサーになって、会場を訪れた女性たちひとりひとりにお化粧をしてあげるというもの。

輝くばかりに美しくなった彼女たちは会場で楽しげにおしゃべり。

隣の部屋に設えられた即席スタジオではプロのカメラマンがポートレートを撮ってくれるというおまけ付き。

こちらはプリンターメーカーのエプソンがプロモーションのために無料サービスでやってくれる。真剣な表情でカメラの前でポーズをとるフランソワーズさん、出来上がった特大の写真をしげしげと眺めながら「私って案外まだまだいけるわね!」と満更でもなさそう。

これを企画したのは30年近くもこの地区に住むエディットさん。地域の活性化をはかろうと昨年「De VOISIN @ VOISIN」(“お隣さんからお隣さんへ” といった意味 ) というNPOを立ち上げた。

毎月3回ぐらいの頻度で市役所や公民館を利用して各種のイベントを企画している。「国際婦人デーということもあって女性を対象にしたイベントが考えられないものか。 口紅をテーマにしたのも女性にとって外見はとても大切。一度、病気で入院している人たちにメークをしてあげたら顔色がパッと明るくなって、それだけでも気持ちが癒されたのです。思わずこれだ!と思いました。ほら見てごらんなさい。彼女たちのウキウキした表情を。こんなちょっとしたことだけで彼女たちはとてもハッピーになれるんです。」

これもまた形を変えた隣人祭りだ。

音楽会を催したり本の朗読会をやったり、或いはガレット・デ・ロアを試食するお茶会といったように誰でもが気軽にぶらっと参加できるイベントを考えているとエディットさんは言う。 「ひとりでも多くの人たちに参加してもらうにはあまり敷居の高くないイベントが必要です。それでなくてさえ引きこもりの人たちは外出するのが億劫。あまりにも懲りすぎる演出ではかえって逆効果です。程よい緩さが大事ですね。」

 
 

[仏]新しい年にボンナネ(明けましておめでとう)!

 

 

「日本のみなさん、あの熱狂的な歓迎は忘れらない!本当にありがとう」。

昨年12月の来日時の興奮さめやらぬといった表情のぺリファンさん。今日はパリ本部のスタッフ一同が集まって日本のみんなに“ボンナネ(Bonne Année)!”

威勢のいい掛け声と共に、いよいよ新しい年もスタートしました。2009年の「隣人祭り」に向かって全員やる気満々。男性スタッフもたくさん混じっています。

今年のビッグニュースはなんといってもベルギーのブラッセルに本部を置くヨーロッパ委員会(EU)が強力な後援をしてくれることが正式に決まったことです。ポスターやチラシにもブルーで黄色い星マーク(注:EUのシンボルマーク)がたくさん使われています。世界29ヶ国、959都市、そのうちの20カ国はEU加盟国。孤独や引きこもり、そんな世界が直面する心の悩みをみんなで解決していこう。それには世界中のみんなの協力が必要です。市民同士が手を取り合い問題意識を共有しあって解決策をみいだしていく。まさにEU委員会が各国の共通理念としてそんな理念を認識し合あうことで一致しました。

「日本のみんなも僕たちEU諸国と肩を並べて繫がりあっていることを忘れないで。その輪がアジアにもひろがり、やがて世界を一周するのも夢じゃない。市民同士のつながりこそ一番強い絆で結ばれているんだってことを証明しようじゃないか!」そんなぺリファンさんの熱い言葉が印象的でした。

 

1月20日、オバマ新大統領の就任演説。フランスでも熱狂的に感動の渦を巻き起こしました。人種のるつぼという意味ではフランスも多民族国家。アメリカと同じです。翌日の日刊紙は一斉に書きました。「もう一度、アメリカを再建しよう」(フィガロ紙)、「将来への約束」(リベラション紙)、「バラク・オバマの就任演説――新大統領、グァンタナモ法廷の中断を命令」(ルモンド紙)。TVでは演説を一目見ようと集まってきた黒人やヒスパニック系など世代を超えてマイノリティーの人たちの涙や感動を画面いっぱいに大きく映し出していました。いまこそ国民ひとりひとりの協調を求める新大統領の姿勢にフランスのオピニオンもみんな期待しています。もう単独行動主義・個人主義なんか流行らない!まさに民衆の時代のはじまりです。私がいままでずっと求め続けていた理想の時代。大統領就任の舞踏会でオバマ大統領は「隣人」という言葉を何度も繰り返し使っていました。そう、隣人=私たちこそが主役の時代、新しい時代の始まりです。ひとりひとりが繫がっていること、アクションを起こしていくこと。それはまさに「隣人祭り」の理念そのものです。

 

 

 
 

[仏]ニュイ・ブランシュ!

 

“ニュイ・ブランシュ!”、その名も徹夜という名のフェスタ、パリっ子たちもちょっと寝不足?

10月4~5日、今年で7回目を迎える「ニュイ・ブランシュ」。パリのドラノエ市長の鳴り物入りで始まったこのイベントも、今では100万人近い人たちが参加するフェスタへ。今年はカルチエ財団現代美術館のディレクター、エルヴェ・シャンデスさんをADに迎えて「駅」をテーマに1駅=1アーチストがパフォーマンスを。なかでもモンパルナス駅は、隣接する高さ210mのモンパルナス・タワービルを光と音ですっぽりと覆ってしまおうと日本人アーチストのイケダ・リョウジさんはまさにイリュージョニスト! 煌々とライティングされた東駅では”ボリウッド”ことインドの映画監督シャアッド・アリさんが本番よろしくダンサーたちを前にクランクイン。目玉は何といってもサンジェルマンデプレ駅に隣接するサンジェルマン教会でのパティ・スミスだ。彼女の歌声で教会の中は熱気ムンムン。こんな贅沢なパフォーマンスがパリ中、夜を徹して繰り広げられるなんて! しかも全部タダ。誰もが参加できる。バスもメトロもこの晩だけは眠らない。まるで夢のような祭典だ。

これをオーガナイズするのはパリ市の文化政策長のクリストフ・ジラールさん。かつてイヴ・サンローランのマネージャーとして日本にも住んでいた経験がある大の日本通。「”ニュイ・ド・パルタージュ”——まさに一夜をみんなで過ごして楽しいひと時を共有しましょう!」。そんなメッセージは”エスプリ・ド・パルタージュ”の精神につながるもの。『隣人祭り』よろしく、パリは人と人が出会って集えるチャンスがいっぱい。そんな徹底したポリシーでパリ市は”無関心追放”と戦っている。